NAKAHARA-LAB.NET 東京大学 中原淳研究室 - 大人の学びを科学する: 読書感想文とは、いったい「何」で、どのように書いたらよいのか?
今から考えてみますと「読書感想文」というものが、そもそも「何」で、「何を期待されている文章」なのかが、そもそもわからなかったような気がします。オヤジやオフクロにきいても、「はてね?」という感じだった。 「オマエ、アホか、と・・・本を読んで、自分の思ったこと(感想)を書くのが、読書感想文で期待されていることだろ」 と言われれば、全くそのとおり(笑)なのですけれども、それはトートロジー(同語反復)ですよね、ほとんど。だって「読書して感想を書くのが読書感想文だ」と言っているのですから。
敢えて、皆さんに、ひとつの問いを提示させていただくとして、上記のようなトートロジーにならず、「読書感想文とは何か?」を、子どもにもわかるように説明するとしたら、皆さんでしたら、なんと説明できますか? これ、なかなか簡単なようでいて、答えるのが難しいな、と思いませんか。
今になって考えてみれば、これがもし仮に「自分が読んだ面白い本を友達におすすめする文章を書いてよ」と言われたら、少しはわかる気がすしますし、もうちょっと気楽にかけた気がするのです。まぁ、相変わらず苦手だったでしょうけれど、でも、「少しはまし」だった気もする。
「おすすめ書籍紹介文」という場合には「面白いから読んでみて、とおすすめする」という「目的」と、「友達」という「宛先」があるからです。
「宛先」の人の興味関心にあったかたちで、それにひきつけて、思わず手に取ってしまうように書くことができるのかもしれませんね。
この話は後日談があって、いつでしたか、かなり大人になってから、あるとき、「読書感想文が得意だったというある方」に、同じような話をしたら、こんな内容の趣旨のことを教えてもらいました。 読書感想文? あのね、「評価される読書感想文」には、フォーマットがあるの。中原君、知らないの?
読書感想文は、読書したことの感想を書いちゃ「だめ」なんだよ。あれは、「読書」をきっかけにした「経験文」なの。「自分の経験紹介と、その意味づけを先生に示す文章」なんだから。
書き方はサンドイッチにすればいいの。
はい、まず数行で、本の紹介をする。読書の部分はそれでいいの。その後は、ひたすら、その本の内容に「ゆるく関連した」自分の出来事や経験を、それを知らない先生に対して書く。それに対する自分なりの意味づけも忘れない。
最後のオチは、本に戻る。自分の経験に関連した内容で、本に書いてある印象深い一節を引用して終わる。
読書感想文は「読書の感想」なんか書いちゃだめなの。メインのコンテンツは、自分の経験紹介なんだから。
ほほー。
僕は、思わず「ハニワ顔」になりました。
そんな「裏技」があったとは。。。
さすがは「都会の学校出」は違うな、と。
北海道では、そんな「裏技」は伝わってこなかったぞ、と。
はやく教えてけれ、と。